内閣府は、1月12日、「2024年度日本経済レポート~賃金と価格をシグナルとした経済のダイナミズムの復活へ~」を公表しました。
今回のレポートでは、2024年の我が国の経済・物価動向を振り返るとともに、個人消費の回復と賃金の持続的上昇に向けた課題、企業の倒産・企業に係る現状と課題について分析が行われました。
まず、現状認識として、日本経済は緩やかな回復を続けているとしています。ただし、今後は中国など海外経済の下振れを通じた影響に加え、2018年以降の米中貿易摩擦が、製造業の輸出・生産を下押しした経験に鑑みれば、通商政策を含む米国の政策動向とその影響に十分留意する必要があるとしています。
個人の消費について、最近の消費性向の低下には、消費者が賃金・所得の増加を恒常的なものとは捉えていないこと、食料品など身近な物価の上昇が消費意欲を下押ししていること、老後への不安が貯蓄志向を高めていること等の要因が複合的に影響しているとし、消費回復のために2%程度の安定的な物価上昇と、これを持続的に上回る賃金上昇の継続が重要としました。
賃金について、現在と同様に人手不足感が強かった2010年代後半と比べ、潜在的な労働供給余力の減少や転職市場の発展もあり、企業の賃金設定行動が変容し、賃金上昇の持続性が高まりつつあると分析しています。
日本経済の現状について、四半世紀にわたって続いた賃金と物価がともに据え置きで動かない状況が変化し、賃金と価格をシグナルとして労働や資本が動くという、市場経済が本来持っているダイナミズムを取り戻りつつあるとした上で、このダイナミズムを復活させ十二分に活かすこと、そのための環境整備こそが、潜在成長率の向上、日本経済の持続的成長のために重要としています。
2024年度日本経済レポート/内閣府政策統括官

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